皆様こんにちは。CMB日本語教師養成講座、広報担当の野丸です。
さて、本日は昨日行われた「日本語教育能力検定試験 」について触れたいと思います。私も日本語教育に関わる仕事をしているので、試しに受験してきました。
公益財団法人日本国際教育支援協会が主催するこの検定試験は、毎年1回、10月に行われます。この試験を合格すると、現行制度では「法務省告示校」で「日本語教師」として働くことのできる資格を満たすことになります。
今年度はコロナの影響で申込期間が延期されましたが、予定通り10月25日(日)に各地で実施されました。試験結果の通知は12月末になるそうです。ではこの試験、どんな内容が出題されるのでしょうか。
5つの区分に渡り、以下のような項目について出題されます。
区 分 | 主 要 項 目(赤字は「基礎項目」) |
1 社会・文化・地域 | 1.世界と日本 (1)諸外国・地域と日本 (2)日本の社会と文化 2.異文化接触 (1)異文化適応・調整 (2)人口の移動(移民・難民政策を含む。) (3)児童生徒の文化間移動 3.日本語教育の歴史と現状 (1)日本語教育史 (2)日本語教育と国語教育 (3)言語政策 (4)日本語の教育哲学 (5)日本語及び日本語教育に関する試験 (6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域 4.日本語教員の資質・能力 |
2 言語と社会 | 1.言語と社会の関係 (1)社会文化能力 (2)言語接触・言語管理 (3)言語政策 (4)各国の教育制度・教育事情 (5)社会言語学・言語社会学 2.言語使用と社会 (1)言語変種 (2)待遇・敬意表現 (3)言語・非言語行動 (4)コミュニケーション学 3.異文化コミュニケーションと社会 (1)言語・文化相対主義 (2)二言語併用主義(バイリンガリズム(政策)) (3)多文化・多言語主義 (4)アイデンティティ(自己確認,帰属意識) |
3 言語と心理 | 1.言語理解の過程 (1)予測・推測能力 (2)談話理解 (3)記憶・視点 (4)心理言語学・認知言語学 2.言語習得・発達 (1)習得過程(第一言語・第二言語) (2)中間言語 (3)二言語併用主義(バイリンガリズム) (4)ストラテジー(学習方略) (5)学習者タイプ 3.異文化理解と心理 (1)社会的技能・技術(スキル) (2)異文化受容・適応 (3)日本語教育・学習の情意的側面 (4)日本語教育と障害者教育 |
4 言語と教育 | 1.言語教育法・実技(実習) (1)実践的知識・能力 (2)コースデザイン(教育課程編成), カリキュラム編成 (3)教授法 (4)評価法 (5)教育実技(実習) (6)自己点検・授業分析能力 (7)誤用分析 (8)教材分析・開発 (9)教室・言語環境の設定 (10)目的・対象別日本語教育法 2.異文化間教育・コミュニケーション教育 (1)異文化間教育・多文化教育 (2)国際・比較教育 (3)国際理解教育 (4)コミュニケーション教育 (5)異文化受容訓練 (6)言語間対照 (7)学習者の権利 3.言語教育と情報 (1)データ処理 (2)メディア/情報技術活用能力(リテラシー) (3)学習支援・促進者(ファシリテータ)の養成 (4)教材開発・選択 (5)知的所有権問題 (6)教育工学 |
5 言語一般 | 1.言語の構造一般 (1)言語の類型 (2)世界の諸言語 (3)一般言語学・日本語学・対照言語学 (4)理論言語学・応用言語学 2.日本語の構造 (1)日本語の構造 (2)音声・音韻体系 (3)形態・語彙体系 (4)文法体系 (5)意味体系 (6)語用論的規範 (7)文字と表記 (8)日本語史 3.コミュニケーション能力 (1)受容・理解能力 (2)言語運用能力 (3)社会文化能力 (4)対人関係能力 (5)異文化調整能力 |
と、多岐にわたる知識が求められ、勉強もゼロからだと相当大変だというのが正直なところ。
試験は3部構成になっています。
試験Ⅰが午前中にあり、昼食後に試験ⅡとⅢが実施されます。
試験Ⅰは90分間で100問。すべてマークシート方式での解答です。最初20問が単純な選択式、あと80問は5問ずつに分かれていて、与えられた文章を読んで、問いに答える形式です。単純計算で1問あたり54秒ですが、考えさせられる問題もあり、時間配分に工夫が必要かもしれません。
試験Ⅱは、30分間で40問。音声を聞きながら解答を進めます。出題が終わると同時に解答時間が終了しますので、見直したり、メモして考え直す時間がありません。
音声の問題が中心になってきますので、過去問を取り組んで慣れておけば何とかなるという感覚でした。
試験Ⅲは120分間でマークシート式80問と記述式1問。マークシートの方は試験Ⅰと同じような形式です。
記述式は、今年度のテーマは「やさしい日本語」でしたが、毎年異なったテーマで出題されるので、記述式を念頭においた勉強も必要になってくると思います。ところで、これは本講座の先生に聞いたのですが、今年度から少し出題形式が変わっているそうです。今年度はキーワードが複数提示され、最低一つそのキーワードを関連付けて意見を述べる、という指示が加わっていました。
日本語教師養成講座420時間は、まさしくこの試験の範囲を網羅するものです。実技科目は現場で必要な知識がちりばめられていますので、より実践的な問題にも対応できるようになります。また、講座で学ぶ内容は最新の情報にアップデートされていますので、記述式や最新の知識を問う問題に対しても対処できます。日本語教師を目指していて、「日本語教育能力検定試験」を受験しようとお考えの方は、是非本講座の受講をご検討ください。
さて、試験結果はどうなるでしょうか。このブログでご報告がなければ、そういうことにしておいてください。では、また。
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