千葉市で日本語教師養成講座を運営しています、CMB日本語教師養成講座の広報担当の野丸です。
日本語を話すことができる日本人なら、誰でも簡単に日本語教師になれるでしょ?
確かに、外国人に”日本語を教える”ことはできるかも知れません。
This is a pen. : これはペンです。
これも”日本語を教える”ということになりますが、それは日本語会話を教えているに過ぎませんね。しかし、それは”日本語教育”とは全く異なり、日本語学校で教壇に立つことはできないのです。
日本語教育能力検定試験の演習問題を問いてみた
知り合いの方に「日本語教育能力検定試験」の演習問題を問いてもらいました。
結果はこのような感じでした。
正答率41%。。。実際に問題を問いてもらいましたが、3択の選択式問題でしたので回答すれば1/3の確率で正解します。実際に”まぐれ”で正解した問題も10問以上ありましたので、これはきちんと勉強しないと合格しません。
日本人だからとか日本語が話せることと日本語教師になることができるということは全く別次元の話だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
日本語教育能力検定試験とは、日本語教師になるための手段の一つで合格率25%前後の試験です。正答率70%以上が合格の目安のようで、われわれの業界でも難しいと評判の試験です。
日本語教師になるために学習する項目
日本語教師になるには、理論だけでも様々なことを学習する必要があります。
- 日本語の文法
- 日本語の文字表示と指導
- 日本語教授法
- 外国人受け入れの現状
- 日本語教育の現状
- 日本人の言語行動
- 言語学の基礎
- 世界と日本(比較文化学)
- 社会言語学
- 4技能教育
- 日本語の音声
- 日本語の語彙・意味
- 日本語教育評価法
- 日本語史
- 第2言語取得論
- 日本人の話し言葉
- 視聴覚メディアと日本語教育
- 異文化理解と心理
- 対象言語学
これだけの事を学習する必要があるのです。
具体的に問題を問いてみる
例えば、5の「日本語教育の現状」では、このような問題が演習で出ていました。
1983年に中曽根内閣が打ち出した、留学生受け入れ政策の名称は?
(1)留学生受入れ十万人計画
(2)留学生受入れ三十万人計画
(3)留学生受入れ百万人計画
正解は(1)ですね。(2)の留学生受け入れ30万人計画は、2008年の福田内閣のときに国会で提唱されたものです。(3)については、まだまだ先の話になりますね。2019年時点での外国人留学生の人数は、約31万人、2020年までに30万人を達成するという目標を掲げていたので一先ずは達成したという状況です。
これは、政治・時事系の問題になりますね。
6の「日本語教育の現状」の問題です。
「ヤコブソンの6機能」のうち、話し手の感情や感覚を外に表出する機能を何と呼ぶか
(1)表出的機能
(2)叙述的機能
(3)交話的機能
正解は(1)のようです。一般常識云々の内容ではありません。相当な専門性が求められる知識です。「ヤコブソンの6機能説」とは言語によるコミュニケーションの働きを6種類に分類したものになります。
11の「日本語の音声」ではこんな演習問題もありました。
/タ/の子音の調音点と調音法は。
(1)歯茎-鼻音
(2)歯茎-破裂音
(3)歯茎硬口蓋-歯擦音
正解は(2)のようです。これは歯学部の試験問題でしょうか・・・(笑)専門的過ぎて意味が分かりません。お手上げ状態でした。
解説すると、タ、テ、トの子音は、歯茎・破裂音。ツの子音は、歯茎・破擦音。チの子音は、歯茎硬口蓋・破擦音となります。
このように、「日本を話すことができること」と「日本語教師を教えること」は似て非なりで、実際は全く異なります。日本語教師になるためには、幅広い知識と教養が求められます。日本語教育とはとても奥が深いのです。
誰もがなれないが故に、誰にでもチャンスはある
繰り返します。日本語教師は誰でもなれるような職業ではありません。きちんと専門的な学習をして訓練した者しか職業としての日本語教師にはなれません。
これは、「人前で話をするのが得意」だとか「日本語を流暢に操れる」といった次元の話ではなく、訓練をすれば誰でも日本語教師になることができるということです。
「私は人前で話すのが得意ではない」という方は結構いらっしゃいますよね?そのような方は日本語教師の適正がないということではありませんので、ご安心下さい。
そして一度資格を取得してしまえば、生涯に渡り現役で働くことがでいる魅力的な仕事です。
意外と多いミスマッチ
日本語教育の奥深さに魅力を感じて日本語教師を目指す方も多い一方で、
- こんなに難しいと思わなかった・・・
- もっと気楽な感じで資格を取れると思ってた
- 日本語教師の仕事って実際大変そう・・・
といったミスマッチが起こることも多いようです。
私たちの仕事は、一人でも多くの日本語教師を輩出する一方で、このようなミスマッチを減らすことでもあります。
せっかく、お金と時間を費やして学ぶわけです。いつでも見学にいらして下さい。
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