千葉市で日本語教師養成講座を運営しています、CMB日本語教師養成講座の広報担当の野丸です。
日本語教師に興味・関心をお持ちの方に耳寄りな情報です。
外国人留学生や外国人労働者に日本語を教える、日本語教師ですが近い将来、『国家資格化』されると言われています。
そこで今回は、文科庁を始めとする公的機関の情報を参考にしながら、日本語教師の将来像について考えて生きたいと思います。
日本語教師になるには?
日本語教師になるには、なにか特別な資格が必要なのでしょうか。
今のところ、日本語教師には、法律で定められた「教員免許」のような国家資格はありません。
しかし、教育期間や公的機関などで日本語教師として働くためには、いずれかの条件を満たしている必要があるのです。
学士の取得
まずは、四年制大学において、日本語教育を主専攻または副専攻にて修了するというパターンです。これにより、日本語学校や公的機関が主催する日本語教育の現場で日本語教師として働くことができます。
しかし、日本語教育を専攻していたからといって、現場で即戦力として活躍できるほど、甘い世界ではありません。実践的なスキルだったり実践力を磨くような学習(実践)を繰り返さなければなりません。
日本語能力検定試験に合格
日本語能力検定試験に合格することです。
正答率70%以上であれば合格圏だと言われるこの試験は、日本語教育の現場の方に話を聞くと、この試験は合格率25%前後と非常に難しい試験のようです。受験者の学力レベルと本気度合いにもよりますが、4人に1人しか合格しない試験ですので、難易度が高い試験だと言えます。
文化庁認定の日本語教師養成講座を受講
最後に、文化庁認定の「日本語教師養成講座」を受講することです。
CMB日本語教師養成講座も文化庁の認定受理講座(文化庁届出受理番号:R02101512006)なりますが、受理講座を受講することで日本語教師になることができます。
日本語教師養成講座には、所定のカリキュラムがあります。理論と実践講座を織り交ぜた420時間のカリキュラムを履修することで、より実践的なスキルが身に付くのです。ここで注意が必要なのは、学士以上の学歴がないと日本語教師にはなれないということです。もしあなたが学士をお持ちでない場合は、上記の日本語能力検定試験に合格する必要があるのです。
実際、大学で日本語教育を専攻していたとしても、現場レベルの実力を養うために養成講座に通う方もいらっしゃいます。日本語能力検定試験に合格した方についても同様です。
即戦力に近いレベルで日本語教師になりたい方は、一度、日本語教師養成講座を受講されてから教壇に立つのもいいでしょう。
公認日本語教師について
『公認日本語教師』とは、日本語教師が国家資格化された時に使われるその呼称です。
現在、日本語教師に国家資格化が検討されていて議論が活発にされています。文化庁や関連する公的機関から公表されている情報を確認すると、国家資格化することは間違いなさそうです。
問題は「どのタイミングで国家資格化されるか」ですが、恐らくコロナ渦の間には大きな動きはないのではないかと思います。2021年、2022年あたりに国家資格化するのではないかと思います。
このこと自体は、予測の域を超えておらず、特別な意味はありません。しかし、様々な変更点があるため、その問題をクリアしていく必要はあるでしょう。
実際に国家資格化によって何が変わるのでしょうか。
知名度と向上
国家資格化によって、日本語教師の知名度が上がることは間違いありません。
職業としての箔が付き、待遇面についての改善の議論も活発に行われることでしょう。慢性的に人材不足である日本語教師ですが、就職希望者も増えるのではないでしょうか。
ただし、国家資格化により資格取得のハードルも高くなることは間違いありません。要件なども複雑になることが予想されますので、日本語教師を目指す人にとっては、それなりの対策が必要になることが予想されます。
資格取得要件が大幅に変更
国家資格化に伴い資格の取得要件も大幅に変更となります。
現時点であがっている要件について簡単にご紹介します。
- 試験に合格する
- 教育実習の履修
- 学士以上の学位
まず、1の「試験に合格する」という点ですが、現行の制度ですと、筆記試験にパスするのは「日本語教育能力検定試験」に合格した人のみになります。
これは別の見方をすると、日本語教育能力を試す筆記試験にパスしなくても日本語教師になれるということになります。
国家資格化するのであれば、その公平性を保つためにも、何らかの試験(日本語教育能力検定試験と同等レベルのもの)にパスすることが求められるのではないかと思います。国家資格である以上は、きちんとした能力を実証する場所がないといけませんね。
2の教育実習については、実践的な能力を養う機会として設けられる可能性は高いと思います。
大学の日本語教育を専攻または副専攻した場合には、カリキュラムに教育実習があります。また、養成講座においても、420時間のカリキュラムの中で、所定時間以上の実践講座が用意されているのです。
これは、要件として、日本語教育における実践的な知識を身に付ける必要性があると考えられているからであり、資格取得には実践力が問われることは間違いなさそうです。
3つ目の学士以上の学位についてですが、これは現行の制度でも求められていますね。
日本語能力検定試験に合格する程度の知識を有していれば問題無いのですが、国家資格化に伴い、その辺りがより厳格化されるのかもしれません。
経過措置は考えられるのか
国家資格化がされる場合の課題の一つとして、現在の日本語教師の処遇についてです。
具体的には、これまで取得した日本語教師の資格は意味がなくなってしまうのではないか?ということです。
この点については多くの方が心配されていて、日本語教師養成講座の受講を考えている方の中にも「国家資格化の問題がはっきりするまで様子を見よう」といった方がいらっしゃいます。
この点に関しては、かなり高い確率で経過措置が取られると想います。
一般的に資格制度に関する法改正がされる場合は、必ずと言っていいほど経過措置が採用されます。これは、既得者の保護の観点からも必要な措置だからです。
早めに資格を取得しておいたほうがいい
本質とは少しズレてしまいますが、あなたがきちんと勉強をして日本語教師として立派に活躍されたいのであれば、日本語教師が国家資格化される前に資格を取ってしまった方がよいでしょう。
国家資格化された場合、現在の予測に基づくと、大学または養成講座での420時間の履修に加えて、国が新たに定める試験に合格と教育実習制度の履修に加えて、学士要件を満たさなけばならないのです。
特に学士要件を満たしていない場合は、日本語教師になるのは、時間的にも労力的にも相当難しいのではないでしょうか。その人の能力的なこと以外の部分で大きな壁に直面するようになります。
ですので、早めに日本語教師養成講座の履修または、日本語能力検定試験に合格して、日本語教師の認定資格を取得してしまうのが賢い選択だといえます。
日本語教師に少しでも興味がある方は、ぜひ前向きに検討してみてはどうでしょうか。
コメント